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天幻自在
新緑の茶畑を縫うように、時速二七〇キロで西に向かっていた。
「わあ!」
新幹線の車窓を彩る青緑色の風景に、隣の摩耶が思わず声を上げる。僕は婚約者の感嘆に、少し気障に返した。
「まるで絵画だね」
「ほんと素敵。そうだ、お茶。喉乾いてる?」
摩耶は鞄の奥からマグボトルを取り出すと、通路側に座る僕に差し出した。
「ありがとう。ずっとカラカラだった」
「そんなに緊張しないで。翔也のことは一応伝えてあるから……」と照れながら微笑む彼女は、いつもより眩しく見える。
柴野裕治
6月15日読了時間: 16分
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